「西部邁 & 伊藤貫」の思想(YouTube)のブログ

リアリスト学派の国際政治学による日本の外交・国防、国際情勢の分析

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米国の国家戦略(世界支配戦略)と「トランプの外交政策への評価」



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米国の世界支配計画(戦略)が始まった1890年代から現在までの流れをざっと眺めてみよう。

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マニフェストデスティニー

アメリカが1890年代に世界覇権を握ることを念頭に立案したグランドストラテジー(基礎的な国家戦略)は、「西半球(アメリカ大陸)のみならず、西欧と東アジアを支配する(覇権国の出現を許さない)」というものであった。その目標は、第二次世界大戦で欧州の覇権を狙っていたドイツを潰し、アジアの覇権を狙っていた日本を潰すことによって達成された。戦後アメリカは、世界覇権を握ることを念頭に、西欧、東アジア、中東という三重要地域に軍隊を駐留させ、支配し、ソ連を封じ込めるというグランドストラテジーを実行に移した(二極構造)。

 


ソ連崩壊によって冷戦に勝利した米国は、有頂天となり、いよいよ念願の「世界を米国のみで支配する(軍事支配とグローバリズムによる経済支配)という野心的なグランドストラテジー(※DPGと呼ばれている)」を1992年に立案した(一極構造)。この戦略を支持したのはジョセフナイやフランシスフクヤマ、アーミティッジ、マケイン上院議員らのネオコン論客である。これに対してケナン、キッシンジャー、ハンティントン、ウォルツなどの優秀なリアリスト学派の国際政治学者は「無謀である」と反対した。なぜなら、過去、世界支配を試みた国は例外なく失敗に終わってきたからである(大英帝国でも世界を思い通りにできた期間は30年ほどしかない)。


ちなみに米ソの二極対立(冷戦=世界が二陣営に分かれる)は歴史上初の出来事で、今後、世界は多極化していくので、同様のことは起きないだろうと伊藤貫氏は予測している。ゆえに中国包囲網なるものも失敗に終わるであろう。またこうした国際政治史の基本的な知識があれば、「中国が世界を支配する!」というのは米国のプロパガンダ(敵国の悪魔化)であることは分かる。世界支配を画策しているのは中国ではなく、アメリカである。

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日本の言論人の多くはこれらの基礎知識を持っていない(非常に知的レベルが低い)

米国はこのDPGに基づき、ロシアと中東(全域)の支配を画策したが、前者はプーチンの出現によって阻まれ、後者はアフガニスタンイラク・シリア等で失敗に終わり(ゲリラ戦での敗北と膨大な戦費)、経済政策(グローバリズム)でもリーマンショックを引き起こし、米国は財政を悪化させて国力を低下させ、オバマもトランプも中国封じ込めに失敗し、現在、東アジアの覇権を中国に脅かされている。

アメリカが世界を思い通りにできていたといえる時期は冷戦終了後の1992年から2003年のイラクへの侵略戦争までのわずか10年余りであろう。歴史は繰り返すのである。イラクでの占領統治の大失敗を見て多くの国(豪州、韓国etc)は米国の衰退を確信し、多極化戦略へと舵を切っている。ロシアと中国の勢力拡大やドイツ(EU)の(米国の指示に従わない)自主外交は多極化が進展している証左である。

しかし、今も米国の主流派はリアリスト学派の学者たちの忠告に耳を貸そうとはせず、世界支配計画に固執し続けているというのが今現在の状況である。そして歴史の流れが理解できず、自主防衛(核武装)しようとせず、崩れゆくアメリカにしがみつき続けるという自殺行為を続けているのが日本なのである。

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日本は米国に見捨てられ、丸腰のまま東アジアに置き去りにされるであろう

東アジアの勢力均衡の方法については、リアリスト学派の学者によって、様々な意見があるが、基本的な考えは、米国は自国の勢力圏(アメリカ大陸)の覇権のみを維持し、欧州やアジア地域に米国は基本的に直接関与せず、バランスオブパワーのシステムによって、地域の安定を図るというものである。その中でも有力(=米国の国益を最大化する)と考えられているのは、リアリスト学派の国際政治学者のC・レインが主張する「米国は東アジアには一切関与せず、中国にその覇権を譲り渡すべき」というオフショア戦略である。ちなみに、C・レインはオフショア戦略の権威であるが(オフショア戦略という言葉を作ったのはレインである)、この戦略を主張しながらも日本に核武装を勧めているのだから、(反日思想ではないという意味で)親日的であると言える。

 


最後に、トランプ政権の外交政策を振り返ってみよう。国務長官は一極覇権思想のネオコンのポンペオである。

まず対露政策については、オバマ時代よりもトランプ政権は制裁を強め、対立関係は更に悪化したので、東欧の覇権をロシアに譲る、つまり、バランスオブパワー政策に転換したという様子は全く見えない。次に対中東政策だが、イランを弱体化させる意図に基づき、イランとの核合意を破棄し、苛烈な経済制裁を科し、イランの司令官を暗殺し、イランとの戦争の危機を高め、エルサレムへの大使館移転と首都として承認という敵対的で、バランスオブパワーを無視した外交政策を行った。最後に東アジアだが、選挙期間中は日本の核武装を支持する発言をしたが、当選後は否定した。つまり日本に核武装させて中国に対してカウンターバランスさせるという政策は否定したので(日米同盟の深化を首脳会談で宣言)、「世界一極支配戦略」路線のままの外交政策であった。またトランプが自画自賛した金正恩との会談だが、現在北朝鮮ICBMを量産中で、日本の安全保障は日ごとに悪化し続けている。トランプの外交は日本の安全保障を悪化させたので、日本の国益に反していたと評価できる(米国に追従するという日本外交・対米従属は日本の国益を害している)。

(保守派や陰謀論者の)言論人たちは、バイデンは中国に迎合する(バイデンは中国と手打ちするから日本は中国に侵略されてしまう)という理由で(※実際には、米国の国家戦略が変わらない以上、バイデン政権になっても米国の中国に対する敵視政策に変化はないのだが)、トランプ応援団として頑張ってきたのだから、トランプがいなくなった今、日本はバイデン政権のアメリカには頼ることができなくなるはずである。

つまり、米国が信頼できない以上は、自分の国は自分たちで守らなければならないと考えざるをえなくなったはずなので、「バイデンの米国は信用できないので、日本は自主核武装するしかない」という主張を日本の保守派(や陰謀論)論客たちが、始めなければ、矛盾することになるのだ。

しかし、彼らの正体は対米従属に日本を誘導するように命じられている米中どちらかの工作員か、「親米への洗脳」と「核武装することへの恐れ」が非常に強固な人たちなので、何か新しい理屈を考えて、バイデンにしがみ付く理由をまた主張し始めることだろう。トランプが当選する前はヒラリーのスカートにしがみつけばよいと主張していたこの人たちは、4年ごとに同じ主張(「日本はアメリカにしがみ付くべし。それ以外に選択肢はない。」)をリニューアルし続けているだけなのである。

この無能な売国言論人たちに日本の無垢な大衆は導かれて、滅亡(=中国による併合)へと向かっている。

uipkmwvubg9azym.hateblo.jp

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