「西部邁 & 伊藤貫」の思想(YouTube)のブログ

リアリスト学派の国際政治学による日本の外交・国防、国際情勢の分析

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ユダヤ陰謀論(国際金融資本陰謀論)の矛盾①(証拠がない方の説を不自然に採用しているところ)



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ユダヤ陰謀論(国際金融資本陰謀論)とは、簡単に言えば、ユダヤ系の資本家グループ(ロスチャイルドなど)が世界を支配しているというものであるが、この陰謀論を信じてしまう人たちは、「世界の覇権を握るという国家戦略」を米国政府が持っていることを知らないのだろう。なぜなら、前者を証明する証拠はないが、後者にはそれがあるからである。

すなわち、何かの存在(世界を支配する者)を証明する時に、それを証明する証拠がないA説(ユダヤ陰謀論)と、それを証明する証拠があるB説(米政府の世界覇権戦略)の二つがあった場合、その人の頭が正常であればB説を選ぶということである。

 


アメリカの国家戦略について簡単に説明しよう。1890年代からアメリカの国家目標はマハンの地政学の理論による世界覇権となった。アメリカ人は自分たちは例外的に模範的な民族であるという選民意識が強く(※American excptionalismと呼ばれる)、これが米国の世界支配戦略への動機づけの一つになっている。1992年には、ディフェンスプランニングガイダンスと呼ばれる世界制覇の国家戦略を改めて策定し、それに基づき、現在も外交を行っている。

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ディフェンスプランニングガイダンスに関する機密文書

また、世界を支配したいという願望は、アメリカ人に特有なものではなく、過去、世界覇権を目指した国は、モンゴル帝国などいくつもある。モンゴル帝国ユダヤ人資本家にコントロールされていたと考える人はいないだろう(この時代にユダヤ人資本家など存在しない)。

米国の国家戦略(世界覇権)については、この記事に書いた。

uipkmwvubg9azym.hateblo.jp


国際金融資本陰謀論の証拠とされているものは、「シオン議定書」だ。ヒトラーもそれを信じていた。シオン議定書は、反政府運動を抑えるために、ユダヤ人に大衆の敵意を向けさせるという、帝政時代のロシアの警察による洗脳工作の一環として作成されたという説が有力である。いずれにしても、これは100年前の当時に偽書であると証明されている。

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シオン議定書 wikipediaより


ユダヤ陰謀(国際金融資本陰謀論)を信じる人たちは、米国の国民性も知らず、アメリカの国家戦略という基礎知識すらないから、この陰謀論を吹聴する(自称)言論人に簡単に騙されてしまうのだろう。もし、このような国際政治の基礎知識があれば、これらの(自称)言論人が、証拠のないユダヤ陰謀論についてだけ話し、証拠のあるアメリカの世界覇権戦略に一切触れないことを不自然に感じるはずである。

彼らが、一切それに触れない理由は、もし触れてしまうと、「このような世界支配戦略をアメリカは持っています。その証拠もあります。そして、証拠はありませんが、そのアメリカを裏で動かしているのは世界を支配するユダヤ資本家たちなのです。」と話すことになってしまわざるをえないので、聴衆の多くに、この論客は信用できない人物だと評価されてしまうからである。前半の米国の世界戦略に触れずに、後半のユダヤ陰謀だけを話せば、無知な聴衆を騙すことができるのだ。


また、このアメリカの国家戦略は、最初は機密扱いにされていた。なぜなら、それを世界の人々が知れば、反発を招くと米国政府が考えたからである(他国に支配されたいと思う国などない ※日本人は例外的に大喜びする)。結局、この国家戦略はマスコミにリークされ、世間に知られることとなったが、今でも、米国政府はこの戦略をあからさまには言わず、「国際協調路線」などとオブラートに包んだ言い方をしている。だから、国際政治学のリアリスト学派に無学な人は、この米国の基礎的な国家戦略(グランドストラテジー)すらも知らないだろう。

uipkmwvubg9azym.hateblo.jp

 

この陰謀論を信じてしまう人たちは、おそらく「世界(や日本)が誰かに操られている」という感覚を持っているのだろう。その感覚は正しい。なぜなら、実際、アメリカが基軸通貨を支配し、世界の軍事費の半分近くを支出している(=アメリカは他国に対して、軍事制裁と経済制裁を行う力を持っている)から、その分だけ世界に影響力を行使できる力を持ち、世界のかなりの部分をアメリカが実際に操っているからだ(IMF世界銀行は米政府の強い影響下にある)。日本について言えば、米政府の中枢にいたブレジンスキーが「日本はアメリカの保護領(=植民地)」と公言しているし、その他の米政府高官も同様の発言をしている。

しかし、彼らは国際政治を理解するために必要な基礎知識(リアリスト学派の国際政治学マクロ経済学アメリカの外交史、国際経済史、核戦略論etc)を欠いているから、操っているのがアメリカだと分からず、ペテン師たちに「ユダヤ(ロスチャイルド)が操っている」と言われたら、それをそのまま信じ込んでしまうのである。

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無学だから陰謀論に騙される

人を騙すコツは、99%の真実(世界を支配する者がいる)の中に1%の嘘(世界を支配する者はユダヤ系資本家である)を混ぜ込むことである。ここで注意していただきたいのは、ユダヤアメリカ人の資本家の一部が多額の政治資金を供給することで米国政治に大きな影響力を行使していることは事実である。しかし、この事実と、ユダヤ系資本家グループが世界を支配したり、アメリカを乗っ取っているという(ウソ)話とは、同じではない。この違いについては動画を作っているので関心のある方は是非見ていただきたい。

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 ここでもう一点、指摘しておいたほうが良いことがある。
すでに述べたように、この国家戦略を人々に知られたくないと今でも考えている米政府にとって、この国家戦略をユダヤ陰謀論にすり替えてくれる(自称)言論人たちは、米政府の意図をカモフラージュしてくれるから、非常に役立つ存在なのである。この言論人たちの主張を聞いてみれば、米政府を一切批判しないとか、「悪いのはアメリカ政府ではなく、それを乗っ取っているユダヤ資本家である」などと言っていることが分かるが、それらは「アメリカは日本の味方である」というメッセージになっている(※しかも、日米安保体制化で米国への依存心を強く持つ日本人にとって、アメリカは悪くないという言説は心地がよい)。

それは人々を親米にするから(=日本人がアメリカに対して批判的になることを妨害する・アメリカへの信頼を強める)、「日本を軍事的に無力にさせ、アメリカが日本を思い通りにできる対米従属」(=日米安保体制)を続けさせることに寄与し、アメリカの国益になる(アメリカは日本をATMとして利用し続けられる)。また、それは同時に、米軍が日本から撤退した後に、軍事的に無力な日本を容易に併合できることになるから、中国の利益にもなっている。

アメリカは、西半球の覇権さえ維持できれば、日本を失っても、やっていける国なので、日本をいつでも手放せるが、対米従属は、日本が開くはずのないアメリカの核の傘に依存し、自主防衛を拒否する防衛政策を選択・継続させることを意味するから、アメリカに突然見捨てられたら、露中朝の核武装国に包囲されている丸腰の日本は、滅亡を免れ得ないのだ。多くの日本人は日米安保体制(=日米同盟)は日本にとって良いものだと信じ込んでいるが、現実には、これは軍事同盟などではなく、米国が日本を支配下に置くための反日政策である。このまま核武装しないままでいれば、アメリカに見捨てられたとき、日本人はそのことに気が付くことになるだろう。

これら三つの政策(※憲法9条、東京裁判史観、日米安保条約)が、敗戦国日本を半永久的に支配しておくために米政府が考え付いた「対日政策・三点セット」なのです。

 

「自主防衛を急げ! 」(伊藤貫) より

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日本は困るが、アメリカは困らない

また、米中の最重要の対日政策は、両国ともに、日本に核武装させないことであり、その(世論操作の)ために日本に多数の工作員(ジャーナリスト、学者、言論人etc)を送り込んでおり、ユダヤ陰謀論は日本の核武装阻止に非常に役立っていること、そして、同時に、この陰謀論を主張しているリベラル系の論客たちの政治思想が護憲左翼思想であり、保守系の論客たちの政治思想が親米保守であることも見過ごしてはならない点である。このことは、彼らが米中どちらかの工作員である可能性があることを示唆している(※後述)。

彼らの多くは精神武装なるものを唱え、核武装の必要性に言及しない、もしくは、反対である。核武装を支持するような言説をする者であっても、その内容を聞いてみれば、「徐々に」「核シェアリング」などと実効性のない核武装を言っている口先だけの似非核武装論者であると分かる。

このような、ユダヤ陰謀論が持つ効用(対米従属の強化)、彼らの不可思議な言動(核武装に否定的・消極的、米国の世界支配戦略に触れない)、彼らの政治思想(親米保守、又は、護憲左翼思想)、米中の最重要の対日政策は日本の核武装を阻止すること、などを考え合わせて見れば、彼らが米中どちらかのために、日本の核武装を妨害することを目的として、意図的にユダヤ陰謀論を流すという工作活動をしているのではないかという疑いがあるのである。

なお、「徐々に核武装」では間に合わないことは下記の記事に書いた。

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意図的であっても、無自覚であっても、いずれにしてもユダヤ陰謀論を吹聴している言論人は、コラボレーショニスト()と同じ売国行為を行っていると言える。天皇制を支持するなどと言って愛国を装うが、実際には、対米従属を強化(=核武装を妨害)することによって、日本の滅亡に手を貸しているのだから、非常に悪質である。

※コラボレーショニストとは?

ノーブレスオブリージュという言葉の意味する「気高さ、勇気、自尊心」とは正反対の意味を持つ言葉が、コラボレーショニストという言葉です。戦いに敗れて敵軍に占領されたとたん、パッと手の平を返すように占領軍に協力し始める人間のことです。したがってコラボレーショニストというのは「協力者」というよりはるかに悪い意味で、「祖国を裏切った奴」という意味です。

 

「自主防衛を急げ!」(伊藤貫)より

 

ユダヤ陰謀論は、反日(売国)と、無学の証である。

ユダヤ陰謀論を吹聴する者には、要注意である。国際金融資本陰謀論、ディープステート陰謀論、Qアノン、グローバル企業悪玉論、などはすべてユダヤ陰謀論の類型であり、ユダヤ陰謀論と同様の弊害(=対米従属の強化)を日本に与え続けている。

 

※今回の記事補足です「ディープステートの定義」

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ユダヤ陰謀論(国際金融資本陰謀論)の矛盾②はこちらです↓

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今回の記事に関連する動画はこちら↓(年齢制限はYoutubeの判断による)

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