「ミアシャイマー」の思想・ネオリアリズムの国際政治学(YouTube)のブログ

リアリスト学派の国際政治学による日本の外交・国防、国際情勢の分析

MENU

ユダヤ陰謀論(国際金融資本陰謀論)の矛盾③(現実の国際社会では通用しない、その勧善懲悪観は幼稚園児と同じ。ネトウヨとユダヤ陰謀論者は同じ穴の狢)

にほんブログ村 政治ブログへ
よろしければクリックお願いします。

f:id:uIPKMwVUbg9azYM:20210316114346p:plain

BS-TBSより引用

ユダヤ陰謀論者に限らず、中国に対して攻撃的な言動をしている人たちにも、共通する点であるが、この人たちは、世界を善と悪の二元論で見るという勧善懲悪観を持っている。

前者の人たちにとって、ユダヤ系資本家は世界各国やその国の人々を支配する悪の勢力であり、彼らに支配される国や人々は、彼らと戦う正義の勢力である。

後者の人たちにとっても、同様に、独裁国家で、他国を侵略し、一般人の殺戮も厭わない中国は悪の国であり、アメリカを中心とする民主国家は、この悪の中国と戦う正義の国である。

 

しかし、現実の国際社会は、強国の横暴を取り締まる国際警察軍も、強国を処罰する力の持つ国際裁判所も、存在しない場所であるから、悪の国が好き放題できるという無法地帯である。

 

 

つまり、悪の国であっても、その国が強国であれば、善の国の弱小国を好き放題できるのである(勧善懲悪は通用しない)。

 

また、このような構造を抱えているのが国際社会というものだから、必然的に、悪の国しか生き残れない。

ルールで禁止されている反則技や武器も平気で使用する相手に対して、「ルールを順守し、反則技は使用しない」という人が戦っても、勝ち目がないということを理解できれば、国際社会も、ルールを無視する悪の国しか生き残れないことも理解できるだろう。

 

要するに、現実の国際社会は、悪の国しか存在しないのである。ルールを遵守するような正義心に溢れたナイーブ(世間知らず)な国は、ルールを破る悪の国に勝つことはできないので、すでに消滅している。

 

だから、現在、世界に存在する国は、いずれも悪の国である。悪の国であるように見えないのは、悪の国だという正体が見破られないようにごまかしたり、取り繕っているからにすぎない。

 

中東唯一の民主国家であると自負するイスラエルは、非武装パレスチナ人に対して、国際法違反の殺戮や領土窃盗を今まで繰り返してきたし、米国(と英国)による2003年のイラクへの国際法違反の侵略戦争によって、100万人以上の民間人が死亡している。

これが、ユダヤ陰謀論者や反中論者たちが、「正義である」と信じている民主国家の実態なのである。

アメリカは、中国と同様の「悪の国である」(正義の国ではない)と言わざるを得ない。

 

このことは、「悪の国しか生き残れないという構造」を国際社会が内包している以上、避けられないことなのである。アメリカや中国が悪いのではなく、必然的に、そうなってしまうのだ。

 

真理は、その表層ではなく、その下に存在する構造にある。

 

ゆえに、「国際社会には悪の国しか存在しない」というこの現実は、ユダヤ陰謀論者たちが信じる「悪のユダヤ資本家たちと戦う正義の国(トランプアメリカ)」というものが、幻想(妄想)であることも意味している。

 

世界を支配するユダヤ資本家グループというのは、存在しない妄想だが、仮にその悪の集団が存在すると仮定したとしても、ユダヤ陰謀論者たちが信じる、「その悪と戦う正義のトランプアメリカ」(※これもまた妄想)も、また悪(正義ではない)なのである。

 

ユダヤ陰謀論者たちは、BOP(リアリズム)の原理で動く国際社会の現実を理解できていない空想家である。

f:id:uIPKMwVUbg9azYM:20210316114603p:plain

ユダヤ陰謀論者たちは、無学である。

 

そして、ユダヤ陰謀論者の多くは、同時に、反中思想である。これは偶然ではなく、必然である(ユダヤ陰謀論を流布している言論人たちは、同時に、強い反中思想も持っている!)

 
なぜなら、彼らは、勧善懲悪の世界観を持つだけでなく、リアリスト学派などの外交を理解するために必須の学問について無知であるから(ユダヤ陰謀論の嘘も見抜けず、反中思想の無意味さも理解できず)、善と悪との二元論である「ユダヤ陰謀論や反中思想」にも、はまりやすいからだ。
 

 

次に、このようなお花畑の幻想(妄想)を、(他国の人たちよりも)日本人の多くが持ってしまう理由について、簡単に説明しておこう。

 

日本は、四方を海で囲まれていたことと、元寇などの軍事侵略があった時でも、嵐などの自然現象によって、運よく他国から侵略されずにきた。つまり、日本は、黒船がやってきた時期まで、他国から侵略されるという脅威すらも感じることがないという歴史を歩んできた。もっと具体的に言えば、日本人は、「ある日突然、武装した他国の見知らぬ人たちが家にやってきて、家族が殺戮され、女性はレイプされ、金品を奪われる。生き残ったものは奴隷にされる」という経験を持っていない(壮絶な地上戦が行われた沖縄は日本では例外である)。

 

しかし、日本以外の他国はそのような歴史を経験してきている。

だから、それらの国は、他国を本音では信用していない(信用できない悪の国だとみなしている)し、正義の国など存在しないと考えているのだ。

 

一方、日本人は他国のような過酷な経験をしていないがゆえに、この世界に正義が存在していると信じ込んでいるのだ。滅ぼされたインカやインディアンの人々と同じ精神状態にあると言ってよいだろう。

日本人は、法治主義(勧善懲悪)が機能している日本国内と同じように、国際社会でも法治主義が機能していると錯覚している。

敗戦後、日本は米国の植民地となり、支配下に置かれたが、戦後、米国は、冷戦終了までは反共の砦として、日本に経済的恩恵を与えた。その後は、その方針を転換し、経済的な利益を吸い上げるという対日経済政策を行っているが、戦後は日本人に対してジェノサイドを行っておらず、また日本人も反共の砦時代の記憶を強く持っているので、アメリカから侵略されているという実感を持てないでいる。つまり、日本は敗戦はしたが、今も、他国のように、他の国から蹂躙されるという苛烈な経験を(沖縄以外の人たちは)してないのである。

 

日本で、ウルトラマン仮面ライダー水戸黄門(お代官様が庶民を守ってくださる)という勧善懲悪物語が人気を博し、独特の(ガラパゴス的な)発展を遂げているということは、偶然ではないだろう。

アメリカ様が中国をやっつけてくださる」、とか、「トランプ様が悪のユダヤ資本家をやっつけてくださる」と信じ込んでいる日本人は、ウルトラマン仮面ライダーの存在(ウルトラマン仮面ライダーが世界の平和を守ってくれる!)を信じ込んでいる幼稚園児と同等の思考力しかない。

ユダヤ陰謀論者たちは、ネトウヨ(=親米保守)と同様、精神面でも、思考力の面でも、極めて貧困であり、惨めである。

 

依存心の強い彼らにとって、アメリカは、「自分たちを守ってくれる優しいパパ」なのである。

しかし、そのパパの正体は、正義の味方ではなく、いつでも日本を裏切る可能性のある悪である。

 

BOP外交に優れていた大英帝国は、世界覇権を確立したが、それより以前の1000年間、他国からの侵略を受け続けていた。つまり、彼らは、1000年間蹂躙された結果として、「国家間に友情などない(他国のことなど決して信用しない)。あるのは国益だけである」という外交哲学を血肉にし、狡猾で非情なBOP外交を実行できたのである。

 

日本が、自主核武装しなければ、2030年までに中国に属国化されることになるだろう。その場合、かつての大英帝国と同じ苛烈な歴史を歩み、1000年後に狡猾なBOP外交を身に付ける可能性は0ではないだろうが、1000年後、消滅している可能性の方が遥かに高いだろう。

 

そして、日本人の99.99%の人たちは、「悪のユダヤ資本家は、正義の民衆とトランプによって、退治される」とか、「アメリカを中心とした民主国家(=正義)の国々による中国包囲網によって、悪(=独裁制)の国の中国がやっつけられる」という妄想を信じ込み、あえて(積極的に)、その苛烈な道を選択するという狂気の中にいるのである。

 

uipkmwvubg9azym.hateblo.jp

 

uipkmwvubg9azym.hateblo.jp

 

uipkmwvubg9azym.hateblo.jp