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リアリスト学派の国際政治学による日本の外交・国防、国際情勢の分析

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山本太郎はデマゴーグ(嘘で大衆をたぶらかす)①(「経済相互依存論はうそ話」)

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wikipediaより

デマゴーグとは、デマで大衆をアゴーグ(煽り立てる)する者という意味である。

 

今回の記事では山本太郎が、国際政治学のリアリスト学派の視点から見て、どのようなウソを付き大衆を煽っているのか、そして、どのような価値観を持つ人物であるのかを明らかにしていく。また、山本太郎の主張が自己矛盾に満ちていることも指摘する。この3論点を、3つの記事に分けることにする。

 

まず、最初に、経済相互依存論が現実には役に立たない論理であることを説明する。

山本太郎の主張している防衛政策は、「経済相互依存」というものである。これは、国同士の経済的関係が深くなればなるほど、戦争を行えば経済的な損失を被ることになるから、この経済的相互依存関係が、戦争を抑止してくれるとしているものである。これが嘘話であることを下記で説明しよう。


まず、歴史的に見て、この防衛理論は、第一次大戦前に、ドイツが、最も経済関係が深かった英国を軍事攻撃したことを見て明らかなように、現実の出来事と矛盾している(=理論的に破たん)。この理論が現実には成立しない理由、つまり、この理論が嘘である一つの理由は、経済関係というものは、代わりに別の国と行えば、代替できてしまうからである。例えば、領土問題などで、日中で政治的対立が深まった時に、日本が「尖閣諸島に軍事進攻すれば、中国との経済関係を切るぞ」と脅かしても、中国は日本以外の別の国から必要なものを輸入し、日本への輸出を他国に変えれば、日本の脅しは無意味になるのだ(日本に脅されても困らない)。つまり、経済相互依存関係では、戦争を阻止できない。

 

また、日本の方が中国に対する経済依存度は高い。このことは、お互いに経済制裁のやり合いとなった場合、日本の方が中国よりもダメージが大きくなることを意味している。日本がこれを武器として使用すれば、中国からそれ以上の攻撃を受けてしまうのだ。もし、これを続ければ、論理的には、日本は経済的に危機に瀕する結果に至る(中国が危機に瀕する前に、日本が危機に瀕する)。理屈の上では、この制裁のし合いを続ければ、中国経済が崩壊する前に、日本経済が崩壊するということである(※日本に勝ち目がないという構造がある)。日本政府の頭が正常であれば、自滅する結果になる(中国には勝てない)と初めから分かっているものを、武器として使うということはあり得ない。つまり、日本は、経済相互依存を中国に対する有効な武器として使用できないのである(武器として使用すれば、自滅に至る)。要するに、(中国よりも日本の方が経済的依存度が高いという場合)経済相互依存関係は戦争を抑止してくれない。中国に対して、「経済制裁するぞ」と日本が言っても、中国に「やれるものなら、やってみろ。先に崩壊するのは日本の方だ」と鼻で笑われるだけである。

 

更に、日本が、2010年に尖閣諸島に侵入してきた中国人を逮捕したことに対して、中国は報復処置として、日本に対するレアアースの輸出を停止した。このことは、「経済相互依存関係を深めれば、深めるほど、日本は中国の言いなりにならざるをえなくなる」ということを示唆している。経済制裁は、軍事攻撃に等しい。つまり、経済相互依存関係があるがゆえに、それは戦争を防止するどころか、経済制裁という、実質的な戦争行為の武器として、逆に、利用(=悪用)されてしまうのだ。

要するに、現実には、山本太郎が言うように「経済相互依存関係は国家間の対立を防いでくれる」のではなく、「経済相互依存関係は相手国への攻撃に使用される(経済相互依存関係が深いがゆえに、対立を激化させる)」のである。2010年に起きたことを見れば、中国との対立を防いでくれてなどいない。むしろ、逆に、中国がこれを武器として使用することで、日中間の対立を激化させたではないか。

山本太郎には現実というものを認識する能力があるのだろうか? 山本太郎の経済相互依存論は、現実を認識できず妄想を見ているに等しい。現実を正確に認識できない政治家ほど恐ろしいものはないだろう。それは、間違いなく、間違った判断をしてしまうという結果を引き起こすからである。そのような人物が、国家を主導することほど恐ろしいことはない。

 

そして、この理論には別の致命的な欠陥がある。その欠陥とは、必ずしも国家が「経済的利益を最優先にして動くとは限らない」という視点を欠いていることである。(まともな)国家にとって重要なものは、短期的な経済的利益だけではない。それ以外に、国家としての威信(プライド)や覇権欲(覇権を握れば長期的な観点から見た場合の経済的利益や威信が増す)、(国家の存亡に関わる)地政学的な利益、復讐心などの「目に見えない価値」や「短期ではなく長期視点での国益」を実現することも、国家にとって重要なものである。

例えば、ロシアは経済制裁も覚悟の上で、クリミアを併合した。なぜなら、クリミアにはロシアの重要な軍事基地があり、クリミアがNATO(つまり、アメリカ)の支配下に置かれると、ウクライナという緩衝地帯を失い、ロシアは他国から侵略されるという脅威にされされることになるからである。また、元々はロシアの領土であったクリミアの住民の多くはロシア系であり、NATO支配下になれば、欧州化されロシアの文化も衰退する。つまり、ロシアは短期的な経済的利益よりも、地政学的な利益や国家としてのプライドを優先したのである。アメリカはロシアに経済制裁を加えているが、ロシアがクリミア返還に応じるそぶりすらもない。明らかに、ロシアは(短期的な)経済的利益を優先して外交・国防を行っていない。


そして、中国という国も、経済的利益だけでなく(経済的利益よりも)、国家の威信(プライド)を重視する国である。つまり、中国という国は、その国との経済相互依存がいくら深くても、国家の威信を優先して、その国との戦争を行う国であるということである。例えば、台湾は中国との経済相互依存関係が深いが、中国は台湾独立の動きがあれば、即座に軍事侵攻を行うと公言している。

また、中国は日本などの国から馬鹿にされていることを自覚している(※ネトウヨは、彼らの中国蔑視発言が、中国人の憎悪感情を増幅させていることに無自覚)。プライドの高い中国人にとって、日本に軍事攻撃(※恫喝も含む)して、日本人を屈服させることは、そのプライドを満たす行為であり、それは経済的利益を犠牲にしてでも、中国人が欲するものなのである。それだけでなく、第二次世界大戦で中国人が蔑視する「東夷の日本(小日本)」に台湾などを併合されたという屈辱を晴らす意味もある。相手にやられたことと同じことを、し返さない限り、屈辱を晴らすことはできないからだ。

 

経済相互依存論を無邪気に信じてしまう人は、宗教、精神医学、哲学などの知識に乏しいがゆえに、人間(※人間が集まるものが国家)という存在が、経済的利益だけではなく、プライドや名声欲や支配欲なども持つ複雑な存在であるという当たり前の現実も理解することができない。

アメリカの属国にされ、軍事占領されたままでいても、ほとんどの人が何も思わない(悔しいとも思わないし、むしろ、それを喜んでいる)日本人にとって、この中国人のdignity(自尊の感情)を理解することは困難かもしれない。

 

経済的利益だけで動かないのが国家なのにも関わらず、それを「経済的利益だけで動く」という信念に基づき、外交・国防政策が策定されれば、その政策は、他国の動きを理解しないまま作られた政策ということになるから、(威信や復讐心で動く)他国の現実の動きには対応できず、国防・外交の失敗(国の滅亡)を引き起こすのである。

 

以上により、山本太郎が主張する「経済相互依存関係が戦争を防止する(不可能にする)」という防衛政策がいくつもの理論的な欠陥を抱えた(日本を滅亡に導く危険な)嘘話であることがお分かりいただけただろう。

 

このような論理的に破たんしている防衛政策を自信たっぷりに掲げる山本太郎は、「理論的な思考力が著しく低い」「国際社会の冷酷な現実を理解できないお花畑状態である」と評価せざるを得ない。思考力も、このような国際社会の現実を理解する能力もない人物が政治家として外交を行うというのは、日本にとって自殺行為である。

 

このような間違えた防衛政策には、他国からの軍事攻撃を抑止する力はないから、他国からの軍事侵攻(国の滅亡)を引き起こす。つまり、山本太郎は日本を滅亡に導く(不必要な)戦争も引き起こしかねない危険な政治家だと言える。山本太郎は、護憲左翼思想であり、平和を訴えているが、その実像は、そのイメージとは真逆の「戦争を引き起こす(or 日本を無防備にして他国からの侵略を許してしまう)デマゴーグ」なのである。

 

ちなみに、アイドル時代の山本太郎の将来の目標は「独裁者」であった。将来の目標を独裁者と公言する芸能人は極めて稀であろう。

 

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