「ミアシャイマー」の思想・ネオリアリズムの国際政治学(YouTube)のブログ

リアリスト学派の国際政治学による日本の外交・国防、国際情勢の分析

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C・レインとミアシャイマーのオフショア戦略の違い

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東アジアのオフショアバランス戦略について両者の戦略は全く異なる。

レインの戦略は米軍は東アジアから完全撤退し米国の安全保障上必要な場合はバックパッシング(日本などに中国との戦争を代わりにやらせる)を行う。バックパッシングで中国を抑えられない場合は米軍が直接の介入を行うというもの。
しかしレインは中国が東アジアの覇権を握っても米国の安全保障を脅かす可能性はないと考えているので、米国は東アジアに不介入でいること、つまりバックパッシングも直接の介入も行わない戦略が米国の国益になると考えている(中国と米国との間接、直接の軍事的衝突を否定している)。

一方ミアシャイマーは中国が東アジアの覇権を握れば米国の安全保障を脅かすという前提なので、その戦略は中国の脅威に対してバックパッシングを行い、それでも中国を抑えきれない場合は米国が直接介入をするというものになっている。
つまり、ミアシャイマーは米国と中国との戦争の可能性があると考えている。

従ってどちらの戦略を選択するかの判断は「中国の東アジアの覇権が米国の安全保障を脅かす」可能性についてどう考えるのかによるが、果たしてその可能性はどれほどのものなのだろうか?

 

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5~10年後の勢力図(※クリックで拡大表示)
中国の世界支配など起きない(多極化が起きる)。

米国は南北アメリカ大陸の覇権があれば自給自足できる国であり核武装国である。また中国の1950年代からの基本的な国家戦略(グランドストラテジー)は「中華帝国圏(地域覇権)の復活」(=地域覇権)であって世界覇権(世界支配)ではない。

これらを考え合わせただけでも「中国が東アジアの覇権を握ることが米国の安全保障を脅かすことになる」という主張は非現実的であり説得力を持たないのである。