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伊藤貫氏が支持するバーニーサンダースの寄稿文(アメリカから独裁者が生まれる)の意味とは?

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この国の労働者階級と何十年にもわたり敵対してきた強力な既得権益に挑む勇気を持たねばならない。 既得権益とはつまり、ウォールストリート、製薬業界、医療保険業界、化石燃料業界、軍産複合体、民間刑務所の産業複合体、従業員を搾取しつつづける多くの高収益企業のことだ。 民主党がこうした強力な組織に立ち向かい、この国の黒人、白人、ラテン系、アジア系アメリカ人、ネイティブアメリカ人の労働者家庭のために戦う姿勢を示せなければ、2024年にまた別の右翼の独裁者が選出される地ならしをすることになるだろう。
(バーニーサンダース ※一部抜粋)

courrier.jp

バーニーサンダースは2つの重要な指摘をしている。

 

一つ目は資本家(と大企業)による富の独占がアメリカ社会に深刻な貧富の格差を生み出していることで、二つ目はこの貧富の格差の問題が解決されなかった場合アメリカに独裁者が生まれるかもしれないということ。

富の格差は企業収益の労働者への分配率が低い、つまり(その企業の)株主への分配率が高いことによって引き起こされているが、この富の偏りは政治献金の支出額の偏りをもたらす。

政治献金の支出額の偏りはこの富裕層に有利な社会制度を政治家に作らせることになるので貧富の格差は拡大しこの搾取構造は強固になっていく。

このように政治家と癒着しているのは米国民の所得上位の0.1%層で、この富裕層に有利な社会体制に賛成しているのは所得上位10%までの層であり残りの90%の米国民は所得が横ばいか、その多くは(インフレによって)実質所得は低下し続けているのでこの社会体制に不満を持っている。

この不満を政治家が政治に反映しないのであれば、それは民主主義制度が機能不全に陥っているということなので、今の不平等な社会体制を変えるためには民主主義制度を否定する独裁者の強権によるしかないと過半数の国民が考えるようになるだろう。

ヒトラープーチンはその例として挙げられる。

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投票数でトランプがバイデンに負けたということはこの90%層の庶民の期待にトランプが応えられなかった(0.1%層の支配に立ち向かわなかったトランプに庶民が失望した)ことを示唆している。

www.nikkei.com


トランプの支持者の中核は白人至上主義(反リベラル)の人たちであるから、米国民の大多数の支持は得られずトランプは"本物の"独裁者にはなれないし米国内の左右対立を煽り米社会を分断するだけである。

4年前の選挙でこの社会体制の打破を期待して保守系はトランプにリベラル系はバーニーサンダースに投票したということは左右のどちらも社会を変革してくれる独裁者を望む可能性があるということだが、サンダースが”右翼の”独裁者と言ったのは(左翼と社会主義を結びつける人が多い)アメリカ社会では右系のほうが受け入れられやすく民族主義などによって大衆を煽動する力が強いからだろう。

このような独裁者が米国に誕生することは米外交の方針転換を起こすので日本にも大きな影響をもたらす。